遺伝子レベルで考えるダイエット法

2022.10.29

「ダイエット」と聞くと、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?
有酸素運動、食べる順番ダイエット、キャベツ食べるだけダイエット、レコーディングダイエット、16時間断食ダイエット・・・
これまでたくさんのダイエット法が提唱されてきました。
しかし、ダイエットに取り組んだことがある人のほとんどが、ダイエットに失敗した経験をお持ちなのではないでしょうか。
思うように体重が減らなかったり、食欲が抑えられずリバウンドしてしまったりと様々な失敗体験があると思います。
そもそもダイエットは、運動(=「苦」に近づく行為)と食事制限(=「楽」から遠ざかる行為)が主な方法になっており、「「苦」から遠ざかりたい」、「「楽」に近づきたい」という人間の二つの根源的欲求に同時に逆らうことになります。
それは、「人から綺麗だと思われたい」「自分を高めたい」という欲求よりもはるかに大きな欲求なのです。
そのためダイエットは、この二つの根源的な欲求を脅かさないよう、できる限り効率的な方法を取る必要があります。
そこで近年注目されているのが、「DNAダイエット」です。
今回は、DNAダイエットがどのようなものなのか、ダイエットに活かすにはどうしたらよいのかについてご紹介したいと思います。

ダイエット成功の定義を再考する

以前、【情報リテラシーを身につけて、正しく健康と向き合おう!】の回の「ダイエットの「成功」を定義できていますか?」という見出しのところでもご紹介しましたが、大切なことなので改めてダイエットの成功について考えてみたいと思います。
「ダイエット成功=体重減少」という考え方を持っている人は、今もなおたくさんいるのではないでしょうか。
しかし、筋肉より脂肪の方が軽いため、筋肉が落ちて脂肪がついても体重が軽くなることはあるのです。
見た目への影響で言えば、ハリがなくたるんだ印象になるということです。
果たしてこれは「ダイエット成功」と言えるのでしょうか?
きっと言えないですよね。
体重計の数字を見せながら「痩せたね!」と言われることもなければ、抱っこされて「痩せたね!」と言われることもおそらくないでしょう。
つまり、「ダイエット成功≠体重減少」である、ということを理解する必要があります。
では、ダイエット成功をどう定義するか?
それは、自分の本当の目的次第!と言ってしまうと元も子もないのですが、それを達成する過程としては、
①理想のスタイルを手に入れること
②リバウンドすることなく理想のスタイルを維持すること
この二つが重要になってくるということは間違いないでしょう。
(本当は、理想のスタイルを手に入れ、維持した先に、「異性からモテたい」「心身共に最高の自分でありたい」といった本当の目的があると思います。)
ダイエットは、「消費カロリー>摂取カロリー」であれば、理論上は痩せるはずですよね。

もしあなたが2か月後に結婚式などのライフイベントがあって、短い期間で確実に痩せなければならないという状況であれば、消費カロリーを急激に増やす運動、摂取カロリーを急激に減らす食事制限に取り組まなければならないかもしれません。
しかしそのような明確な期間がない場合、あなたはその厳しいダイエットをこれからの人生で継続することができますか?
人間の本能や根源的欲求といった無意識に逆らうダイエットをこの先の人生でずっと継続することができますか?
きっとできないはずなのです。
短期間で痩せようとするダイエットは、理想のスタイルを手に入れること(①)はできても、その理想のスタイルを維持すること(②)ができません。
要するに理想のスタイルを手に入れ(①)、かつその理想のスタイルを維持する(②)ことができる唯一の方法は、ホメオスタシス(恒常性維持機能)による反動を受けないほど小さな変化で、長期的に習慣化して取り組んでいく方法であるということです。
人は取り組んだ結果が実感できないとすぐに辞めてしまいます。
だからこそ、ホメオスタシス(恒常性維持機能)による反動を受けないほど小さな変化でもダイエットの効果を実感できるだけの「効率」と「指標」が必要なのです。
そのため、見た目といった定性的な指標だけではなく、計測可能な定量的な指標も必要となりますが、その際は体重だけではなく、体組成計などを使って、体重の増減が筋肉によるものなのか、脂肪によるものなのか、はたまた水分によるものなのかにも着目してみましょう。

DNAダイエットとは?

DNAダイエットとは、DNA検査をすることにより遺伝的な体質を明らかにして、その体質に合った方法で理想のスタイルを手に入れる方法です。
ダイエットの定義を再考したのは、DNAダイエットは見た目が大きなポイントとなるからです。
DNA検査の解析によって、以下の3つのタイプの遺伝的体質に分類することができます。

①おなか周りに脂肪がつきやすい「りんご型」
・パンやごはん、麺類などの炭水化物・糖質で太りやすいタイプ
・特にお腹周りに脂肪がつきやすい(ビール腹)
・体重が落ちやすい反面リバウンドしやすい(体重の増減が激しい)
・体重の変化で一喜一憂するのは注意が必要
②下半身に脂肪がつきやすい「洋ナシ型」
・揚げ物やクリームなどの脂質で太りやすいタイプ
・特に太ももやヒップなどの下半身に脂肪がつきやすい
・他のタイプと比較すると体重が落ちにくい
・長期間ダイエットに取り組むことが必要
③脂肪がつきにくいが筋肉もつきにくい「バナナ型」
・脂肪も筋肉もつきにくく、一度脂肪がついてしまうとなかなか痩せにくい(全身がたるむ)タイプ
・昔痩せていたけど、年とともに太り始めてしまったという人が多い
・脂肪を落とす前に筋肉をつける必要があるため、一度体重(筋肉量)を増やす
・食事制限や有酸素運動により筋肉量が落ちてしまう可能性もあり、これらのダイエットが逆効果になる場合もある

これらのタイプはどれか一つに当てはまる場合もあれば、それぞれの組み合わせである場合、あるいはいずれにも該当しない場合があります。
それぞれのタイプの特徴からも、ある程度見た目で判別することができることがわかるでしょう。
しかし、より正確に遺伝的体質を特定するには、DNA検査が必要になります。

DNA検査とは?

近年、DNA検査は比較的安価に、そして簡単に実施できることから、テレビCMなどで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
一口にDNA検査と言っても、その解析機関によって検査項目が異なるため、ダイエットを目的にする方は、体質に関わる項目が入っているかを事前に確認するようにしましょう。
DNA検査自体は、提供している会社により多少違いはありますが、
①検査キットを購入する
②採取前に口の中をすすぐ
③綿棒を開封し、容器から取り出す
④ほっぺの内側に綿棒の綿部を強く押し当て、ほっぺの内側全体にまんべんなく、綿棒を回転させながら上下へ動かす
⑤綿棒を容器へ戻す
⑥検査キットを指定の解析機関へ送付する
⑦検査結果のレポートが届く
といったステップで簡単に調べることができます。

遺伝的体質タイプ別ダイエット法

それでは、DNA検査の結果を受けて、どのタイプがどのようなダイエットを行ったらよいかをご紹介します。

①おなか周りに脂肪がつきやすい「りんご型」
・効果的な運動
一般的にダイエットに良いとされている有酸素運動のような負荷の軽い運動が効果的です。
・効果的な食事
炭水化物・糖質を控えると効果的で、糖質制限ダイエットで効果が出やすいでしょう。ただし、炭水化物・糖質は必要な栄養素であることから、極端に摂取を控えることはせず、摂取する量や食べ合わせを考慮するようにしましょう。
・ダイエットの指標
体重変化が激しいため、体脂肪率やウエストのサイズの変化に着目するといいでしょう。

②下半身に脂肪がつきやすい「洋ナシ型」
・効率的な運動
有酸素運動と筋肉トレーニングを掛け合わせたようなインターバルトレーニング(サーキットトレーニング)が効果的です。
・効率的な食事
意識的に脂質の摂取を控えると効果的です。脂質は糖質・たんぱく質に比べて1gあたりのカロリーが多いため摂取量を考慮し、脂質の種類やバランスにも気を付けましょう。
・ダイエットの指標
体重の減少と合わせて、太ももの太さやヒップアップ等の見た目の変化に着目するといいでしょう。

③脂肪がつきにくいが筋肉もつきにくい「バナナ型」
・効果的な運動
土台となる大きな筋肉を鍛えるため、重めの負荷でゆっくりと行う筋肉トレーニングが効果的です。
・効果的な食事
まずはたんぱく質を意識的に摂取していくことが重要です。しっかりと食べることも大事なので、無理に食事を抜いたりしないようにしましょう。
・ダイエットの指標
脂肪を燃焼するために必要な筋肉がついているか筋肉量で確認するとともに、全身のスタイル(見た目)の変化に着目するといいでしょう。

DNA検査の結果を活かして効率的なダイエットをしよう

ご紹介した3つの遺伝的体質について、先にお話ししたとおり複数の遺伝的体質を持っていたり、全く持っていなかったりと、人によってその体質は様々です。
しかし重要なことは、DNA検査の結果どのような遺伝的体質であったかということを知ることではなく、その結果を受けてどのようにダイエットに活かしていくかなのです。
これまでのダイエットが上手くいかなかったのは、あなたが悪いのではなく、遺伝的体質に合っていなかっただけなのかもしれません。
遺伝的体質がわかれば、糖質制限ダイエットの効果が出づらい、有酸素運動が逆効果になるといったことが明らかになり、効果の薄い無駄なダイエットに取り組まなくてもよくなる可能性があります。
遺伝的体質から見て、
・食べても問題ないモノはこれまで通り、食べると太りやすいモノは少しずつ減らす
・逆効果になる運動は辞めて、効果の高い運動のみを行う
といった効率的な方法であれば、継続して取り組んでいけると思いませんか?
ダイエットで行き詰ってしまった方は、一度DNAダイエットに取り組んでみるのも良いのではないでしょうか。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。