「歩く」ことと健康を考える~日常生活に取り入れるウォーキングの効果とその方法~ | 山形でセミオーダー住宅・注文住宅を建てるならユニテハウス山形

「歩く」ことと健康を考える~日常生活に取り入れるウォーキングの効果とその方法~


現代社会では、生活様式の変遷により、多くの人が運動不足になり、健康被害のリスクが高まっています。デスクワークやテレワークの普及、自動車の使用の増加などにより、運動する機会が減少している方も多いのではないでしょうか。運動不足を解消したい、という悩みを持つ方に最も人気がある運動が「歩く」こと、つまりウォーキングです。

スポーツ庁が公表している「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、運動習慣を持つ人が実施している運動、これから運動習慣を身につけようと考えている人が取り組みたい運動、それぞれにおいて「ウォーキング」が一番になっています。歩くという行為は、私たちにとって最も身近な運動ですが、それゆえに歩くことについて深く考えたことが少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、「歩く」ことと健康の関係について考え、より効果的にウォーキングを行う方法についてご紹介します。


「歩く」ことがもたらす健康効果とは?


私たちが普段何気なく行っている「歩く」という行為は、健康にどのような効果をもたらしているのでしょうか。実は歩くこと、ウォーキングは、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも良い影響を与えることが多くの研究で示されています。具体的には、以下のような効果があります。


心血管系の健康

心臓への負担が比較的少ない運動で、定期的に行うことで心肺機能が向上します。
心臓の強化:心臓のポンプ機能を強化し、持久力を高めます。心肺機能が向上することで、日常生活でも疲れにくくなります。
血圧の安定:血圧を安定させ、高血圧や動脈硬化のリスクを軽減します。ウォーキングの習慣は、特に中高年において心臓病予防に効果的です。
血液循環の改善:末梢血管の血流を促進し、冷え性やむくみの改善にもつながります。血流が改善されることで、全身の健康状態を良好に保つことができます。



代謝の改善と体重管理

全身の代謝を向上させ、健康的な体重の管理に役立ちます。
脂肪燃焼:有酸素系運動のためカロリーを消費しやすく、体脂肪を減少させます。速歩きや坂道歩きを取り入れることで、さらに多くのカロリー消費を期待できます。
血糖値の安定:インスリンの働きを改善し、糖尿病のリスクを低減します。エネルギー消費を促進することで、血糖値の管理にも役立ちます。
基礎代謝の向上:筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、太りにくい体を作る効果もあります。



筋力と骨密度の強化

特に下半身の筋力や骨の健康に寄与します。
筋力の強化:特に足腰の筋肉を適度に刺激できるため、日常生活での動作が楽になります。これにより、転倒のリスクも減少します。
骨密度の向上:体重をかけながら歩くことで、骨密度が増加し、骨粗しょう症の予防に役立ちます。



ストレス軽減とメンタルヘルスの向上

現代のストレス社会において、精神的な健康の維持に大きな効果を発揮します。
ストレス解消:ストレスホルモンの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。さらに自然の中で行うことで、より高いリラックス効果を得ることができます。
メンタルヘルスの向上:体内でエンドルフィンが分泌されるため、幸福感が増し、ストレスが軽減されます。



その他の効果

認知機能の改善:脳への血流が促進され、認知機能の低下予防や記憶力の向上が期待されています。特に高齢者にとっては、認知症予防に効果的です。
免疫力の向上:免疫力を高め、風邪などの感染症にかかりにくくなります。

以上のように歩くこと、ウォーキングは、心肺機能の向上からストレス解消まで、心身ともに健康にしてくれる、手軽でありながら効果的な運動なのです。



正しいウォーキング法とは?


歩くこと、ウォーキングの効果を最大限に享受するためには、正しいウォーキング法を身につけることが重要です。ただ前に進むだけでなく、身体全体の動きを調和させ、連動させることが大切です。ウォーキングを行う際には、以下のポイントを抑えるようにしましょう。


姿勢

正しい姿勢を保つことで、全身の筋肉や関節に均等に負荷をかけることができ、局部的に疲労やダメージが生じるリスクを軽減してくれます。
背筋を伸ばす:猫背や前屈みにならないよう、背中をまっすぐに保ちます。
あごを引く:首が前に出ていると、肩や腰に負担がかかります。あごを少し引き、頭の位置を不必要に動かさないようにして、目線を約15m先に向けます。
肩の力を抜く:肩が上がらないようにリラックスし、腕を自然に振ります。



歩幅

歩幅が広すぎると関節に負担がかかり、小さすぎると効率の良い運動ができません。理想的な歩幅は、一般的に身長の約45~50%が目安とされており、身長に合わせて適切な歩幅に調整することです。この歩幅を基本としながらも、骨盤を押し出すようにして歩幅を広くすることで筋肉への負荷が増し、運動効果を高めることもできます。自身の身体の状態を見ながら、歩幅を調整することが重要です。



足の運び方

足を無理なくスムーズに運ぶことで、効率的にエネルギーを使い、足腰への負担を軽減できます。
かかとで着地:歩き始めるときは、かかとから地面に接地します。
足裏全体で踏みしめる:次に足の裏全体で地面をしっかり踏みしめます。
つま先で蹴り出す:最後につま先で地面を蹴り出し、次のサイクルへと進みます。



腕の振り方

腕をしっかりと振ることで、身体のバランスを保ち、カロリー消費も増加させることができます。理想的な振り方は、ひじを約90度に曲げ、肩から自然に腕を振ることです。肩に力が入ってしまうと、疲労がたまってしまうため、リラックスした状態で振ります。



速度

一般的に、時速4km程度の速度が良いとされ、これは「おしゃべりを楽にできる」程度とされています。この速度を目安にしながらも速歩きを取り入れることで、通常のウォーキングよりも多くのカロリーを消費できます。ただし、息切れするような速さでは無酸素運動になってしまうため、避けるようにしましょう。



呼吸

呼吸は、鼻呼吸を心がけ、自分のリズム、自然なリズムで行います。たまに深呼吸を取り入れて、しっかりと息を吐き切るようにするとより効果的です。



ウォーキングのバリエーション


正しいウォーキング法についてご紹介してきましたが、実は歩き方、ウォーキング法には、目的や環境、文化によって様々な種類があります。適切なシーンで適切な歩き方、ウォーキング法を取り入れることで、健康維持や体力向上、リハビリテーションをより効果的にすることができます。ここでは、特徴的な歩き方、ウォーキング法について2つご紹介したいと思います。

1.ナンバ歩き

歩く動作は、基本的に右手と左足、左手と右足といったように、対側の手足を出して行うものです。しかし、あなたも運動会の行進などで右手と右足、左手と左足を同時に動かしてしまう状態を見たことがあるのではないでしょうか。一見すると不自然で滑稽に思えてしまうこの動作は、日本古来からある独特の歩行法で、「ナンバ歩き」と言われることもあります。より厳密に言えば、ナンバ歩きは右手と右足、左手と左足を同時に動かすものですが、腕を大きく振らず身体の側面に添えるようにして歩きます。このナンバ歩きは、身体のねじれを最小限に抑え、全身のバランスを保ちながら歩くことができるため、エネルギー効率が高いとされています。

普段の歩き方では身体が左右に大きくねじれるため、腰や膝に負担がかかりやすい一方で、ナンバ歩きではねじれが少なく、関節への負担を減少させることができるのです。さらに、歩幅が狭く、重心を低く保つため、長距離を歩いても疲れにくいという利点があります。同側の手足を出す歩き方は一見不自然に思えますが、健康面や身体運動の観点から再評価され、足腰に不安がある高齢者から体幹部を鍛えたいアスリートまで幅広く注目を集めているのです。



2.ルンゴム

ルンゴム(Lung-gom)は、チベットの修行者に伝わる秘法的な歩行法で、軽やかに長距離を歩くことができるとされています。

その歩き方は、空中を走るように移動することから、空中歩行や速行術などと呼ばれることもあります。チベットの修行者は呼吸法と瞑想を組み合わせて、エネルギーをコントロールし、精神集中と持久力を高めることで、通常では考えられない速度で長距離を移動できるようになるとされています。本気で取り組もうと思えばややスピリチュアルな世界になりますが、このルンゴムの重要なポイントは、遠くの一点に意識を集中させ、そこに向かって吸い込まれるように移動するという点です。これまで紹介してきた歩き方が身体面にフォーカスしているとすれば、このルンゴムは精神面にフォーカスしているのです。

この歩き方は、移動の間、無駄な力を使わないので、上半身は脱力した状態を保つことができます。呼吸を整え、意識を一点に集中させることで、マインドフルネスや集中力の向上、持久力の強化が期待でき、ストレスの軽減や精神の安定にもつながります。ただし、車通りのある都市部では非常に危険なため、自然豊かな場所など安全な周囲環境が確保できるところで行うようにしましょう。

ルンゴムのような精神面にアプローチする歩き方は、私たちの心身の健康に寄与してくれるのです。



「歩く」ことを意識して健康的な生活を送ろう!


今回は、私たちにとって最も身近な運動である歩くこと、ウォーキングについてご紹介しました。運動は何よりも継続して行うことが重要です。

まずは、近くの買い物は歩いていく、1駅分多く歩くなどの取り組みやすいところから始めるといいでしょう。目標設定をしたり、ウォーキングアプリを利用したりして楽しみながら取り組むと継続するモチベーションにもなるので、ぜひ試してみてください。一般的なウォーキングに慣れてきたら、今回ご紹介したナンバ歩きやルンゴムのようなバリエーションを加えてみるのもよいでしょう。

無理なく続けることで、心身の健康が向上し、病気予防やストレス解消にも役立ってくれます。誰でも手軽に始められる歩くこと、ウォーキングを、ぜひ日常生活に取り入れてみましょう。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

<参考文献>

・スポーツ庁、「令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」 の結果を公表します」、https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/jsa_00167.html#:~:text=%E3%80%87%2020%E6%AD%B3%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE,%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%96%BD%E7%8E%87%E3%81%8C%E4%BD%8E%E3%81%84%E3%80%82、2024年9月27日閲覧
・厚生労働省、「歩く時のポイント」、https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10m-003.pdf、2024年9月27日閲覧
・ASICS、「ウォーキングのプロが指南する心身を整える、正しいウォーキングのはじめ方。」、https://walking-journal.asics.com/contents_tag/%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%83%86%e3%82%a3/、2024年9月27日閲覧
・デサント、「ウォーキングのやり方を徹底解説!正しい歩き方のポイントも紹介」ULLR MAG. 、https://www.descente.co.jp/media/sports/walking/26309/、2024年9月27日閲覧
・甲野善紀、「古武術に学ぶ身体操法」、岩波現代文庫、2014
・成瀬雅春、「速歩のススメ 空中歩行」、ビーエービージャパン、2023